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性風俗はセーフティネットか?

2015年11月13日

いま改めて問う「性風俗はセーフティネットか?」ー福祉と風俗店経営それぞれの見地から

 本来、貧困に陥った人は救済の対象であるはず。なのに福祉や行政に十分につながらず、支援が届かない……。一昨年から「女性の貧困、子どもの貧困」がにわかに問題視され、メディアでも生活苦にあえぐ母子家庭や、奨学金という借金を背負う若者の現状を伝える記事を日々目にするようになりました。

 が、そうした人たちは突然、登場したわけではありません。これまでも困窮状態にありながら、社会から「見えなくなっていた」だけです。貧困などを理由にセックスワークに就いた女性はますます見えなくなります。

 その実情を把握し、問題解決への一手を探るべく、「セックスワークサミット2015秋
女性の貧困と性風俗〜性風俗は『最後のセーフティネット』なのか?〜」が開催されました。若者を中心に生活困窮者への支援活動を行う「一般社団法人インクルージョンネットかながわ代表理事」鈴木晶子さんと、地雷風俗店を謳う「鶯谷デッドボール」代表・篠原政見さんをゲストに迎え、それぞれの見地から意見が交わされました。
第一部 女性の貧困はなぜ見えにくいのか(鈴木晶子さん)

 今年4月から始まった〈生活困窮者自立支援制度〉。現在、鈴木さんの活動の一環には、この相談も含まれます。支援の現場から見える、女性の貧困の現状を、鈴木さんは次のように話します。

鈴木晶子さん(以下、鈴)「『お金がないなら働け』という声も聞かれますが、そもそも働けない状態に置かれている人が多いことをまず知ってください。心身に疾患があったり、シングルマザーだったり、介護の担い手だったり。『子どもを預けている時間だけ働く、子どもに何かあったら休む』といって採用してくれるところは、低賃金の職場が大半です。最低賃金程度で働いていると月収は10〜11万円にしかならないので、収入増が見込める転職先はないかと相談にみえます。地域の就労先開拓は私たちの重要な課題なのですが、力不足を日々痛感しています」
「また、精神疾患がある方のなかには、朝起きて決まった時間に通勤し、就業時間のあいだずっと仕事に従事するといった一連のことがどうしてもできないというケースが少なくありません。だから仕事に就けても、続けられない……。年齢の壁も大きく、40代女性だと40社も50社も履歴書を送るのですがすべて不採用。その費用も生活を圧迫します。高齢者をのぞくと、短期間で仕事が決まるのは相談者のうち1割程度です。職探しの前に仕事ができる・続けられる環境を整える必要があり、それをクリアした人が就職できるのです。具体的には、子どもの預け先や介護の担い手を確保したり、朝起きるにはどうすればいいか、起きられないならどんな働き方があるかを考えたり……。そうしないと継続的に働けないのです」

「ある母子家庭では、娘の高校の担任など周囲の人たちが、母娘が困窮状態していることに気づいていませんでした。バッグはそれなりのメーカー品だし、最新のiPadを所持している。母親は障害年金や児童扶養手当を、そうしたものにつぎ込んでいたんです。もともと家計管理ができない性質に加え、『貧しいと見られたくない』という思いが強かったようです。このささやかな思いが女性の貧困を見えにくくしています」
「生活困窮者は低所得だけでなく、〈低所得+精神疾患〉〈低所得+精神疾患+虐待〉などさまざまな困難が積み重なります。なのに行政の窓口は縦割りで、そうした人たちの困っていることに総合的にアプローチできません。複雑化してしまっている個人の事情を、異なる窓口でいちいち言語化して話すのはたいへんなことです。結果、口を閉ざし、貧困がますます見えなくなる悪循環に陥ります」

 鈴木さんが理事を務めるNPOは、早い段階で困窮に陥るのを防止しようと高校の図書室を借りて〈ぴっかりカフェ〉を開催。お茶を飲み、おしゃべりしながら、その気になれば困っていることを打ち明けてくれればいい。「人とつながるのは大変、働いて生活していくのも大変。貧困のなかで育った子はそのための力が十分に育ちにくい傾向があるので、高校にいるうちに力をつけ、社会に出ていってほしい」と鈴木さんは締めくくりました。
第二部 地雷専門店の現場から考える女性の貧困(鶯谷デッドボール代表)

「レベルの低さ日本一の風俗」として6年前にオープンした激安デリヘル店「鶯谷デッドボール」。現在は東京・埼玉に4店舗を構え、約300人の女性が在籍している。履歴書と身分証明書さえあれば即採用、という基準で女性を集めたがゆえに「ブスデブババア」がそろう地雷店と揶揄されることが多いものの、日々、女性たちと接する代表はオープン当初といまとでは認識が変わってきたといいます。
篠原政見さん(以下、篠)「テレビのドキュメンタリーが入ったとき、撮影スタッフから女性たちの何人かに軽度の知的障害があるのではないかと指摘されました。そうでなくても、私のお店にいるのは貧困や離婚問題、借金といったさまざまな困難を抱えた女性ばかりです。そこからは面接で疾患の有無や飲んでいる薬について訊くようになりました。そうしておかないと、彼女たちは病気を隠します。ほんとうは病気でつらくて出勤できないのに、それがいえなくて嘘をつく。さきほど鈴木晶子さんがお話されたような、朝起きられない子も多いですね。でも、嘘が重なると気まずくなって辞めていく……。だから最初に困っていること、抱えていることをオープンにしてもらう、そのぶん長期在籍してね、と方針を切り替えました」

 その結果、鶯谷デッドボールにはオープン当初から在籍している女性が7、8人います。出入りの早い風俗業界においてこれは異例といっていいほど。ほかには、他店では働けなくなった、面接で不採用となった女性が多いのも特徴です。

篠「風俗店経営は利益を追求するビジネスなので、女性たちへの支援という考えは私のなかにはありません。 ただ、性風俗で働けなくなり生きていけるかどうかのぎりぎりのラインにいる女性たちが、、ウチに縁を感じて面接にきてくれたのなら、働きやすい環境を整え、長く稼いでもらうことで縁を返したい。そのためには、専属ヘアメイクも入れていますよ。容姿に自信をもって、もっと稼げるようになってもらうためです」

 そんな鶯谷デッドボールで今年、新しい試みが行われました。このセックスワークサミットの主催である一般社団法人ホワイトハンズからの提案により、同店の待機部屋で法律相談会が開催されたのです。名づけて法テラスならぬ〈風テラス〉。ホワイトハンズ代表の坂爪真吾さんや相談を担当した弁護士、社会福祉士から、「セックスワーカーでも行政や福祉につながってはいる。が、自分の仕事を伏せて相談するため信頼関係を築いたり、継続した支援につながるまでには至っていない」など今後の課題が報告されました。
篠「風テラスは面白い試みでした。今後続けるにしても、私たちはあくまで女性と風テラスをつなぐパイプ役です。われわれが直接関わると、弁護士さんに『いまのお店がつらい、辞めたい』と相談できませんからね。無料相談として続けたいので資金面の課題もありますが、こうして女性自身に寄り添うことが求人効果にもつながると信じています。うまくいけば、女性もお店もハッピーだし、当店を利用してくれるお客さまにも還元できます」
性風俗は『最後のセーフティネット』なのか?

 最後に本イベントのテーマ副題にある「性風俗は『最後のセーフティネット』なのか?」の問いに対する、おふたりの回答を紹介します。

鈴「現実的にセーフティーネットになっている方もいる一方で、激安店でも稼げない女性もいることを考えると、その方たちにとってはセーフティーネットとはいえません。一律でこれに救われるわけではないということです。いま性風俗が果たしているのと同等の、いえ、それ以上のセーフティーネットが社会に用意されていたうえで、女性たちが『私はこの仕事をやります』と性風俗を選ぶのであればいいのですが、現状ではほかに選択肢がないと感じている人が多いのだとすると、そういう状況は本来あってはならないことだと私は考えます」

篠「性風俗を運営している側からすると、セーフティネットであるつもりはまったくないし、今後そうなるつもりもありません。従業員の女性たちにほかの選択肢があったなら、この仕事には就いていないでしょう。そんな状況で自分たちのことをセーフティネットなどと偉そうにいう気は毛頭ないです。鶯谷デッドボールで女の子たちに対してしていることを社会に広めることよりも、縁がある子たちによりよく働いてもらえる環境を精いっぱい提供することを優先したいです」
(三浦ゆえ)


風俗店にそういうの求めない方がいいと思うけど、、だって風俗だよ?



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